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ボイトレ豆知識-コラム「歌が上達する音楽の聴き方」

2024.04.29

歌が上達する音楽の聴き方
うさんくさいセールスの宣伝文句のようですが、
実はそんな音楽の聴き方があるんです。

歌に必要な呼吸筋のエクササイズや、ニュアンスの練習など、
声を出す練習はしたことはあると思います。

それに加えて音楽の聴き方も変えれば、
普段何気なく音楽を聴いている時間も上達に繋がっていきます。

楽器未経験者はまず100%と言っていいほど実践していません。
好きな音楽を聴きながら上達していきたいという人はじっくり読み進めてみてくださいね。

歌は聴かなくていい。

歌が上達する音楽の聴き方_02
歌が上手くなりたいのにそんなバカなことがあるか!
このような声が聞こえてきそうですが、
実は聞かなくていいんですね。

それは何故か…
【歌は勝手に聞こえてくる】
ズバリこれです。

アカペラでもない限り、どんなジャンルでも色々な楽器の音が入っています。
その中でも主役である歌は、1番大きな音量でスピーカーの真ん中から聴こえてきます。
なおかつCDでは、基本的に歌が聴こえやすいような音量のバランスになっています。

それに加えて声というのは、人間の耳に聞き取りやすい周波数帯を多く含みます。
色々な音の中でも話し声が聴きとりやすくなっているんですね。

ということは、あえて歌を聴かなくても自然と聴き取れるわけです。
これはボーカロイドなどの機械的な音声であっても同じで、
自然と主役の音を聞きとるようになっています。

歌に集中していたリソースを違う部分に振り分けることで、飛躍的に音楽の理解度が増していきます。

音楽の3要素

音楽は大きく分けて
・メロディー
・ハーモニー(コード)
・リズム

この3つで構成されています。
分かりやすく楽器で説明すると、
歌声はメロディー
ハーモニーはピアノ、ギター
リズムはドラム、ベース

他にも色々な楽器がこれらの要素を担っています。
歌だけで完結するものではなく、ハーモニーやリズムとの兼ね合いで成り立っているものなんですね。

これを理解して聞き取る耳を育てることで、リズム感のある歌や、ピッチ感のいい歌になっていくというわけです。

知っておきたい耳の特性

聴音のトレーニングを経験した人は、音程を聴き分けたり、一度に色々な音色を聞き分けることができます。
そういったトレーニングをうけてない人は、いきなり同じように聞き分けることは難しいです。
ですがありがたいことに、色々な音の中から1つの音を集中して聞き取る能力は、
トレーニングを受けた人もそうでない人もさほど差はありません。

例えば、ポップスのアレンジの中でベースだけを聞き取り続けるというのは、プロとアマチュアで大きな違いはないんですね。
この特性を活かしていけば全くの楽器未経験者でもしっかりと聞き取ることが出来るようになります。

まずはドラムの3点を聞き取る

歌が上達する音楽の聴き方_03
ではどの音から聞き取るのがいいかというと、ドラムの3点と言われる部分です。

・キック(バスドラム)
・スネア
・ハット(ハイハット)
ドラムセットには他にもいくつか種類がありますが、
この3点を抑えておけばリズムの基礎は把握することが出来ます。

キックは文字通り足で踏み、最も低い音が出ます。
スネアは座った状態で1番近くにある最も目立つ音で主にアクセントをつけます。
ハイハットは2枚重さねの小さめのシンバルで、8や16beatなどのビート感を決定します。

ドラムだけを聞き取ると言ってもこれだけ種類があります。
なかなか集中力が続かず違う音に耳がいってしまうと思いますが、
まずはキックの部分だけに集中して聞いてみてください。

キックの音に集中していても、歌が聞こえなくなるなんてことはありません。
自然と歌も聞こえてくるのがお分かり頂けるかと思います。
キックの次は、スネアだけに集中します。
そのあとはハイハットに集中して聞きます。

すると3点のドラムセットの音、加えて歌声がしっかりと聞こえるようになります。
それが出来るようになると、リズムと歌の関係がぼんやりとですが見えてきます。

プロにはこう聞こえている

このような聞き方をしていると、様々な楽器を聞き取りながら、
それに合わせて歌えるようになっていきます。

例えば最近流行りのTHE FIRST TAKE。
原曲では複雑にアレンジした曲を、ピアノ1本など少人数の構成のオケで歌います。
聞き比べてみると全くといっていいほど違う歌い方になっていますよね。

これはオケの抑揚や音圧に合わせてバランスをとった結果、歌い方も変わっていったというわけです。
既存のカラオケでもすごく重要な部分で、
ポップスでは概ね、1コーラスより2コーラスの方が盛り上がるアレンジになっています。
その盛り上がりに合わせて歌も変化をつけていくことが必要になります。

オケと合わないような歌い方は、空気の読めない歌になってしまうんですね。
声はいいんだけど、なんかあまり響かない…
このような歌になっている人は、オケとのバランスがとれていません。

音楽の中に歌がある

ここまで読んで頂いた人は、歌も音楽の1部であるというのがお分かりいただけたのではないかと思います。
歌が上手いと言われる要素はいくつもありますが、
歌だけにフォーカスをあてていると見えて来ない部分があります。

初めは楽器に集中して音楽を聴くことが、物足りなく感じることもあるかもしれません。
しばらく続けていくと、楽器と歌の関係への理解度が深まります。
そうなれば、今以上の音楽の楽しさや深みを感じることは間違いありません。
それが歌の上達にもつながるとなればやらない手はありませんよね。

まずは好きな曲で、もし飽きてしまったらいつもと同じように聞いてみる。
こんな流れでぜひ実践してみてくださいね。。